状況の法則とPREP法で気づきを促す|コーチングで重要な状況説明のスキル

気づきを促す

どうも、海馬(@Transtier)です。

コーチングを行う際、まず最初にコーチからメンバーへ育成目標や任せようとしている仕事を説明する必要があります。その際に活用すべきなのが、状況説明のスキルです。状況説明を行う狙いは、メンバーにとって”なぜこの仕事を自分がやるべきなのか”という目的や重要性を理解させることができ、気づきを促してメンバー自身が「その仕事をやりたい」という主体性を引き出すことができるからです。

今回は状況説明のスキルの中で覚えておくと役に立つ”状況の法則”と”PREP法”の2つについて書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

状況の法則について

状況の法則とは

状況の法則とは、イギリスの経営学者であるM.P.フォレットが提唱した考え方です。

「たとえ他人からの指示や命令であっても、その背景となる状況を伝えることで、メンバーに納得して受容される」

上司や先輩から何の説明も無しに仕事を振られた時、反発心が出てしまうことがありますよね。「どうして自分がこの仕事をやらなければならないんだ」という気持ちをメンバーに持たせてしまうと、本当はメンバーの成長に有益な仕事だったとしても、メンバーの意欲を高めることができません。

状況説明をしっかりと行うことで、メンバーは「自分は指示によって何も考えずに動いているわけではなく、指示の背景にある状況を理解し、納得できたから指示に従うんだ」という自己効力感を感じることができます。

コーチングでは意欲を高めることが重要なので、状況説明のスキルは必須と言っても過言ではないですよね。

意欲が低いメンバーへ状況説明で気づきを促す

状況の法則で学んだ通り、メンバーの意欲を引き出す為には状況説明をしっかりと行うことが大切です。コーチも仕事を抱えていたりすると、どうしてもメンバーへ業務連絡的に指示内容を伝えてしまいがちですが、それによって成果が思うように出なかったとすると、後からリカバリーする時間の方がもったいないですよね。

もし仮にメンバーがコーチをとても尊敬していて、「コーチの言うことは何でもやります!」という関係性であれば放っておいても主体的に取り組むはずなので、それほど状況説明のスキルは必要ないかもしれません。

ですが、そこまでの信頼関係が構築されておらず、またメンバーの意欲が低い場合にはとても有効なスキルとなります。状況の法則に基づいて仕事の背景となる状況を説明することで、メンバーから「その仕事をやりたい」という気持ちを徐々に引き出していくことが必要なんですね。

 

状況説明で伝えるべきこと

仕事の目的と重要性

メンバーに任せたい仕事の重要性と目的についてをまず最初に説明します。特にその仕事が組織の中でどれくらい重要なのかということがわかると、メンバーも積極的に仕事に取り組もうと考えるようになるでしょう。

  • A:「別に大した仕事じゃないんだけど」
  • B:「今度のプロジェクトで必要になる仕事だから」

という2つのアプローチがあった場合、Aの方で頼まれるとあまりモチベーションが上がりませんよね。大した仕事じゃないなら、自分以外に振ってくれと思うか、自分は大したことがない人間なんだと卑屈になってしまいそうです。一方、Bの方であればどうしてその仕事をする必要があるのかが明確なので、メンバーも理解しやすくなります。

仕事の重要性」をどう伝えるべきか悩む時は、逆にその仕事をやらなかった場合に起こる不都合を考えることもできそうです。

  1. 草むしりの仕事をやらない
  2. やらないと店の周りが雑草だらけになる
  3. 雑草だらけの店にお客さんは来ない
  4. 草むしりは大事な仕事

例がちょっと極端かもしれませんが、このような感じで重要性を説明できるのではないでしょうか。

メンバーにとってのメリットを伝える

メンバーがその仕事を担当することで、どのような知識を得ることができ、どのような経験を積むことができるのか。メンバーがその仕事を経て成長することで、今後はもっと高度な仕事に挑戦することができるようになる。

そのように、メンバーにとってのメリットを伝えることはとても重要です。

メンバーにはそれぞれ、興味や価値観があります。メンバーの個性をしっかりとコーチが把握することで、メンバーそれぞれに適したメリットの伝え方ができるようになります。コーチが主体となるコーチ・オリエンテッド・アプローチではなく、メンバーが主体となるメンバー・オリエンテッド・アプローチが重要ですね。

あまりプレッシャーを与えすぎない

仕事の重要性を伝えることメンバーにとってのメリットを伝えることが状況説明では必要でした。が、ここで僕が要注意だと思うのは、メンバーに仕事を頑張ってもらいたいからといって過剰にプレッシャーを与えるような伝え方はよくないということですよね。

プレッシャーを受けてやる気を出すタイプもいれば、萎縮してしまうタイプもいるので、メンバーの個性をしっかり把握することがやはり重要です。

 

状況説明のポイント

理解しやすい表現で

状況説明を行う際、難解な専門用語を並べて説明をすることは避けましょう。例えばベテラン同士であればそれで伝わるかもしれませんが、相手はこれから仕事を覚えていくメンバーです。相手が理解しやすい表現を使えるように、コーチは言葉を選ぶ必要がありますね。

また、曖昧で感覚的な表現を使ってしまうと、コーチとメンバーの間で理解に齟齬が発生する可能性が高いです。仮に「Excel能力を強化しよう」という目標を立ててしまった場合、強化するというのは何を持って強化されたのか判断に迷いますよね。

こういった事態を避ける為にも、なるべく数値を使った表現を心がけたいものです。

 

数値化した目標を立てることに関しての話は以下の記事に書いていますのであわせてどうぞ!

関連記事: 目標設定は”SMART”に「原因と結果の法則」から考えたこと

 

理解しやすい流れで話す

理解しやすい表現を心がけても、話の流れがあっちこっち飛んでしまえば、結局伝わりません。メンバーが理解しやすい流れで話すことは、表現と同じくらい大切です。

順を追って説明することで、説明が論理的になり、理解しやすいものとなります。相手が理解しやすい流れの代表例として、PREP法があります。そちらを説明しておきますね。

PREP法とは

PREP法とは、以下の英単語の頭文字を取ったものです。

  • Point:話の要点や結論
  • Reason:その理由
  • Example:事例や具体的なデータ
  • Point:話の要点や結論、まとめ

これはコーチがメンバーへ説明する時だけではなく、上司へ報告する時も使えますよね。だらだらと言い訳から入るより、上司への報告は結論から始めるのと同じ理屈です。

メンバーへ説明する時も同様に、まず結論から入り、背景となる理由を語り、事例や具体的なデータで納得させ、改めて結論を伝える。こうすることで、理解しやすくなりますね。

 

映画や漫画の修行シーンあるある

映画や漫画の師匠は状況説明していない?

ここは完全に余談ですが、映画や漫画に出てくる師匠は状況説明をしていないことが多いですよね。例えばドラゴンボールで孫悟空がクリリンと一緒に亀仙人の修行を受けた時も、重い亀の甲羅を背負わされ、意味もわからず畑仕事や牛乳配達をさせられていました。

武道を習いに来たはずなのにと戸惑いながら、亀の甲羅を外した時、知らず知らずに自分たちが強くなっていたと知る。本来の目的は教えず、主人公たちがあることをきっかけにその修行の意味に気がつくというようなシーンは、ある意味で「あるあるネタ」かもしれません。

カンフーキッドでも、窓拭きの動きが相手のパンチを捌く動きだったとか、例を挙げたらキリがないですよね。

現実ではしっかりと状況説明を

映画や漫画ではそういった気づきを経て、師匠を信頼するというシーンがありますが、現実社会ではあまりやらない方がよさそうです。コーチはメンバーへしっかりと状況説明を行い、その仕事にどんな意味があるのか、どんな能力が身につくのかということをあらかじめ理解してもらった上で業務に臨んでもらう方が効率的です。

 

まとめ

以上、コーチングで重要な状況説明のスキルについて説明してきました。状況の法則から、メンバーの気づきを促し、意欲を引き出す為に状況説明をしっかり行うことが大切なんですね。

PREP法はさらっと流してしまいましたが、実生活においてはかなり重要な説明の手法です。

  • P:結論
  • R:理由
  • E:事例
  • P:結論

という型をしっかりと覚え、活用していきたいですね。メンバーの意欲を引き出すには状況説明をしっかりとおこないましょう。

それでは、また。

 

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海馬
「無知の知」を自覚し、学び続けています。 増やした知識が単なる記憶の蓄積とならないように、ブログ「知識の海から」を立ち上げました。 学んだことや考えたことをアウトプットしていきます。英語が好きで、独学でTOEIC955点。英国と米国に滞在経験あり。2020年秋に産能大学卒業予定。学べる環境に感謝。