どうも、海馬(@Transtier)です。
コーチングを行う上で最も重要な部分となるのが、メンバーをどのように育成していくのかを決める育成計画の作成ですね。しっかりと理由を説明せずに何かを教えようとしても、メンバーには当事者意識が芽生えづらいからです。
自分が担当する業務を遂行するためにはどんな能力が必要で、どうやって高めていくべきなのか。そこが明確でないと、メンバーの意欲も高まっていかないものです。そこでコーチがメンバーへ具体的な育成計画をまとめ、明確な道筋を示す必要があります。
今回はコーチングで重要な育成計画の作成について、書いていきたいと思います。
目次
育成計画に必要な3つの項目
メンバーの育成計画で必要な3つの項目があります。
- 育成目標の設定
- 達成手段の確認
- 指導・支援の方法
育成目標の設定とは、メンバーにどのような能力を身につけて欲しいのか、ということです。どのような能力を、いつまでに、どのレベルまで高めていくのか。そのことを設定します。
達成手段の確認とは、メンバーが取り組むべき具体的な行動とスケジュールを作成する、ということですね。目標を達成するためにどのようなことをメンバーが行えばいいのかを明示することが必要です。
指導・支援の方法とは、コーチがメンバーに「教える」のか、「考えさせる」のか、ということです。メンバーの能力や意欲を把握し、適切なアプローチをとっていくことがコーチに求められています。
それぞれについて、もう少し詳しく紹介します。
育成目標の設定について
育成目標の意義とは
コーチングには主に2つの主要な目的がありました。組織目標の達成と人材育成という2つですね。人材のレベルを高めることで組織目標を達成し、組織目標が高くなることで人材育成がさらに求められる。両輪のごとく、2つはお互いに関わっています。
目的を達成するためには計測可能な目標を立てることが必要になるわけです。
▼計測可能な目標を立てることに関しての話は以下の記事に書いていますのであわせてどうぞ!
関連記事: 目標設定は”SMART”に「原因と結果の法則」から考えたこと
育成目標設定の手順
育成目標の設定については、次のような順番で行います。
- あるべき状態と現在の状態を比較して問題を把握する
- 問題を解決するための育成課題を設定する
- 育成課題を実現するための育成目標を設定する
それぞれの手順について、以下に補足していきます。
① 問題はギャップのこと
あるべき状態はメンバーに目指してもらいたい状態のことであり、現在の状態と比較してそのギャップを把握します。問題というのはギャップのことなんですね。
② ギャップを埋めることが課題
課題とは、問題を解決すために取り組むと決めた事項のことです。最初の手順で把握したメンバーの問題を解決するためには、何をするべきなのかを考え、設定していきます。
③ 課題をメンバーと共有する
コーチが考えているメンバーの課題と、メンバー自身が考えている課題との認識に相違がないか、十分に話し合いを設けましょう。コーチングで重要なことにメンバーの意欲という点がありましたが、メンバー自身が納得していない課題だと、メンバーの意欲を引き出すことができないからですね。
④ 育成目標を設定する
最後に、育成課題を実現するための育成目標を設定してメンバーと共有します。仕事への意欲が強いメンバーであれば、メンバー自身で目標を考えさせてもいいかもしれません。ただし、最終的な判断はコーチが行う方がいいですよね。
育成目標には、以下の項目を含めます。
- 目標項目:どのような能力を
- 達成期限:いつまでに
- 達成基準:どのレベルまで高めるか
達成手段の確認
達成手段のスケジュール化を行う
育成目標が設定できたら、次は「どのようにして達成するか」という達成手段を検討し、「いつまでに達成するか」というスケジュール化をします。一定期間で達成すべきゴールとも言える育成目標に対し、そのゴールに達するために取り組むべき具体的な行動をスケジュールに落とし込んでいく必要があるからです。
計画してから行動する
行動することは大事なことですが、計画を立てずに行動するというのは時として非常に効率が悪いですよね。育成目標を達成するためには、メンバーが今後どのような仕事を担当し、その仕事を通じてどのように能力向上をさせるのか、十分検討してスケジュール化することが欠かせません。
達成手段はメンバーを巻き込んで
コーチが考えている達成手段と、メンバーが実際に業務を通じて感じている達成手段は異なっているかもしれません。育成目標の時もそうでしたが、コーチが一方的に与えた達成手段ではメンバーの意欲を引き出すことが難しいです。
コーチだけではなく、メンバーも一緒になって達成手段の洗い出しを行い、お互いに納得のいくものが導き出せるといいですよね。
指導・支援方法を検討する
「教える」と「考えさせる」を使い分ける
育成目標の達成手段が明らかになり、メンバーが担当する仕事やスケジュールが決まったら、どのようなアプローチでメンバーにコーチングをしていくことが望ましいかという指導あるいは支援の方法を検討します。人材育成の方法は大きく分けて2つ、「教える」と「考えさせる」がありました。
- 教える:コーチが主体となる
- 考えさせる:メンバーが主体となる
というような違いがあります。どちらがメンバーに適しているのかを判断するためには、そのメンバーの発達度について考えていきます。
発達度は能力と意欲によって判断する
仕事におけるパフォーマンスは、能力と意欲が必要です。そして、どちらをまず高めればいいのかというと、意欲の方を優先的に高める必要がありました。意欲が低ければ、新しいことを教えても学ぼうとしないかもしれないからです。
メンバーの発達度を能力と意欲の観点から分類し、それぞれに対応したリーダーシップを取るための理論があります。それはSL II(Situational Leadership Theory II)と呼ばれ、日本語では状況対応型リーダーシップと表すことができます。
簡単に説明すると、意欲はあるが能力は低い新入社員には「教える」ことに重点を置いたアプローチ、能力も意欲も高いベテランの社員には「考えさせる」ことに重点を置いたアプローチを行おうとするものです。
この内容については以前に書いた以下の記事で詳しく説明しているので、そちらも合わせて読んでみてほしいと思います。
コーチングの実体験
棚卸しを前に在庫管理のスキルを強化したい
ここからは僕の実体験となります。2019年末、担当している業務で初の棚卸しがありました。フォークリフトを使用しなければならない在庫保管体制となっていたので、基本的にはフォークマンに在庫管理をお願いしたんですね。
しかし、フォークマンのリーダーはパソコンを扱うのが苦手で、出荷頻度や実在個数といったデータに基づく在庫整理ではなく、KKDによる在庫整理を行っていました。すなわち、勘・経験・度胸による在庫整理です。
育成目標の設定
僕がフォークマンに期待したことは、データに基づいた効率的な在庫整理です。
- あるべき姿:データに基づいて在庫整理が行える
- 現在の状況:勘・経験・度胸に基づいて在庫整理を行っている
という問題が浮き彫りになったので、課題としてはパソコンを用いて必要なデータを集めたり、分析することとなりました。メンバーは当初データに基づく在庫整理に懐疑的だったので、実際に僕がこれまでの出荷履歴から現在の在庫保管場所が非効率であることの根拠をデータで示しました。
そして実際に必要なスキルを教え、他に現場の視点から必要なことは任せるようにしました。
達成手段と期限
期限は年末の棚卸しまでの3ヶ月で在庫整理を進めるということですぐに決まりました。そして、その目標を達成するためにKPIとして保管状況を毎週データとして分析してもらいました。
そのメンバーは最初はできないと否定的でしたが、一緒にデータ加工をしていき、自分ができるようになったことで自信がついたようです。最後は僕が期待した以上の在庫整理を行ってくれて、年末の棚卸しが予定よりも早く終わることができました。
まとめ
コーチングを行う上では、まずチームや組織としての目標があります。そして、それを達成するためにどのメンバーに何を覚えてもらうのか、いつまでに達成してもらい、どのように指導・支援するのかといったことを明確に決める必要があるんですね。
- 育成目標の設定
- 達成手段の確認
- 指導・支援の方法
この3つはコーチングを進める上でとても重要なので、ぜひ覚えておいてください。
僕もコーチングの実体験を通じ、メンバーと目標に向かって進んでいくことの楽しさを知りました。これはコーチの醍醐味だと感じましたね。今後もコーチングを深く学んでいきたいと思います。
それでは、また。
前回の記事
コメントを残す