メンバーの発達度を決める2つの要因と4つのマネジメントスタイル|コーチングスキル

どうも、海馬(@Transtier)です。

僕は現在、外資系企業でオペレーション・マネジャーとして働いています。小規模ながらオペレーション管理を任されており、日々学びの連続です。今はまだ僕自身も業務に入る機会が多く、プレイング・マネジャーといった立場ですが、ゆくゆくはマネジメントをしっかりと学び、その上のマネジャーへと成長していきたいですね。

産業能率大学での学習において、コーチングスキルを学ぶ科目がありました。そこから得たものを、今回は書いていきたいと思います。メンバーごとの仕事に対する発達レベルを見極め、効果的なマネジメントスタイルを考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。

 

SL II(Situational Leadership Theory II)

状況対応型リーダーシップとは

これから紹介するのは、SLII(Situational Leadership Theory II)というリーダーシップ理論についてです。日本語で書くと、状況対応型リーダーシップですね。

これは僕の座右の書である『チーズはどこへ消えた?』の中で裏話を書いていたケネス・ブランチャード博士が提唱したものです。すごくあっさりと表現すると、メンバーの発達度を4段階に分類し、それぞれに対応してリーダーシップの対応を変えていくというものです。

メンバーの発達度は能力意欲という2つの要因から考えます。

 

メンバーの成熟度を見極める2つの要因

1.メンバーの能力

メンバーの発達度を見極めるための要因の1つ目は、そのメンバーの”能力”です。能力というと特殊なことを指しているように感じられますが、業種や職種などによって異なってきます。

言い換えるなら、そのメンバーがチームの仕事の中で何を行うことができるのかということですね。能力が高いメンバーというのは、仕事の進め方を知っており、何をすればいいのか理解しているということになります。

要注意なのは、能力というのはメンバーの持っている全体的な評価としての能力ではなく、個々の業務に対する能力となります。どちらかというと、スキルと表現した方がいいかもしれないですね。

 

2.メンバーの意欲

メンバーの発達度を見極めるための要因の2つ目は、そのメンバーの”意欲”です。平たく言えば、やる気があるのかないのかということですね。

仕事をお願いした時に積極的なのか、それとも消極的なのか。上司が見ていないところでも仕事をしっかり責任を持って行うか、上司の目の届かないところでは手を抜くのか。

仕事の能力ではないので、日々の関わりの中で見出していく必要があります。

 

メンバーの発達度を4つに大別する

メンバーの発達度4タイプ

先に挙げた2つの要因をもとに、メンバーの発達度を4つに大別することができます。

  • D1:意欲はあるが、能力は低い
  • D2:やや能力が高まっているものの、意欲は低い
  • D3:能力は中程度以上に高まっているものの、意欲は不安定
  • D4:能力も意欲も高い

DはDevelopment(発達)を表す。

発達度D4D3D2D1
能力高い高 or 中中 or 低低い
意欲高い不安定低い高い

以上が発達度を4つに大別した場合です。もちろん正確に分類することはできませんが、自身のメンバーを考える際、あるいは自分自身の発達度を考える際に役に立つのではないかなと思われます。

D4のメンバーは仕事を確実に実行できるということの他に、「チームに改善や革新をもたらすことができ、成熟度が高くないメンバーへ指導や支援することができる」という点が挙げられます。

僕のイメージとしては、チームリーダーというポジションですね。

発達度は状況によって異なる

メンバーの発達度というのは、固定のものではありません。仮に発達度が高いとされているメンバーがいたとして、些細なことで意欲が低下してしまうこともありますし、逆に新しい仕事の仕組みが導入されることによって能力が発揮できなくなってしまうこともあります。

発達度が低いメンバーも、マネジメントによって発達度が高くなると考えたら、マネジャー冥利に尽きますよね。発達度は不変的なものではないと理解した上で、それぞれに対するマネジメントスキルを学びます。

 

4つのマネジメントスタイル

先ほどはメンバーの成熟度を4つに大別しましたが、それぞれに対するマネジメントスタイルも4つに大別することができます。

  • 指示型:仕事についての指示・命令を与え、丁寧に指導する
  • コーチ型:指示と支援的な働きかけの両方を強める
  • 支援型:具体的な指示は弱め、支援には力を入れる
  • 委任型:メンバーに任せる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

 

指示型:発達度がD1のメンバー向け

指示型の内容

発達度が非常に低いD1のメンバーへのマネジメントスタイルとして、指示型があります。D1は意欲は高いが仕事に対する能力が低いという特徴がありましたね。他には新人へ仕事を教える時、あるいは緊急時などで迅速かつ確実に物事を進めなければならない時に有効です。

具体的には、

  • 仕事と目的を明確に定義する
  • 目標と期限、期待する成果を示す
  • 具体的な活動内容を指示する
  • 管理するためのツールを用意する
  • 進捗状況を確認する
  • 達成された仕事を記録する

と、まさに至れり尽くせりですね。受け身なメンバーにとっては仕事を進めやすいかもしれません。

 

指示型の注意点

指示型の注意点としては、締め付けすぎると反発を招く恐れがあるということです。また、常に主導権をマネジャーが握った状態で仕事を進めるので、メンバーの主体性を確立させることは難しいかもしれません。

このマネジメントスタイルで仕事を覚えさせた後は、なるべく早めに次のコーチ型に進むのがいいかと思います。

 

コーチ型:発達度がD2のメンバー向け

コーチ型の内容

成熟度が低いD2メンバーへのマネジメントスタイルとして、コーチ型があります。D2のメンバーは、能力と意欲のどちらかが低いというのが特徴でした。

コーチ型におけるマネジャーの役割としては、メンバーへの仕事の割り当て、そして業務を遂行していくための支援と動機付けが挙げられます。

具体的には、

  • メンバーに仕事を割り当てた意義、目的、背景を説明する
  • 積極的に対話の機会を持つ
  • 仕事の進捗目標を設定する
  • 能力開発の機会を提供し、活用状況を確認する
  • 目標達成状況を確認する
  • メンバーの成功を褒め称える

というように、メンバーと寄り添っていくマネジメントスタイルです。このアプローチが最もコーチングらしいのかなと思いました。名前もコーチ型ですし。

メンバーと対話は行いますが、必要な意思決定はすべてマネジャーが行うというところが特徴的と言えるかもしれません。

コーチ型の注意点

発達度が高いメンバーに対してコーチ型を行うと、操作的だと思われてしまう可能性があります。先述したように、コーチ型はメンバーとの対話を多く持ちますが、必要な意思決定権はコーチが握っているからです。

マネジャー側としてはメンバーとの時間をかなり確保する必要があり、負担も大きく、常に活用できるスタイルではなさそうです。

 

支援型:発達度がD3のメンバー向け

支援型の内容

発達度がさらに高くなったメンバーへのマネジメントの役割は、メンバーに仕事へ積極的に参画させることだと言えます。具体的には、

  • 討議や話し合いの場を設定する
  • メンバーを意思決定に参画させる
  • 決定されたことの変更可否などを説明する
  • 目標や期限に向かってメンバー主導で仕事の進め方を検討させる

先ほどのコーチ型とは異なり、メンバーにも意思決定に参画させていることが支援型の特徴です。能力が高く、意欲が不安定というメンバーなので、意欲を高めるように支援していくことですね。

支援型の注意点

注意点としては、メンバーに対する態度ということが挙げられるそうです。メンバーを尊重して仕事を進めているように見えて、実は裏で結局マネジャーがなんでも決めているというような見方をされてしまわないよう、メンバーに対しては率直で誠実に振る舞うことが重要だそうです。

徐々にマネジャーに求められることも難しくなってきましたね。

 

委任型:発達度がD4のメンバー向け

委任型の内容

意欲も能力も高いD4のメンバーに対するマネジメントは、メンバーに仕事を任せ、責任と主体性を発揮してもらうことです。具体的には、

  • 仕事の目的を伝え、メンバーに任せる
  • 成果の報告形式を決める
  • 何を委任するかを明確にする
  • メンバーの能力開発に注力する
  • 変革を奨励し、新しい仕事の進め方を共に協議する
  • 内部・外部の環境の変化にも適切に対応する

メンバーに主導権を持って仕事に取り組んでもらうことにより、メンバーの主体性をさらに高いレベルで引き出すことができます。メンバーがマネジャーと同様の仕事を行えるようになれば、マネジャーはさらに高いレベルの仕事を行うことができるようになります。

委任型の注意点

委任放任を混同しないように気をつける必要がありますね。

委任:相手に仕事などやってもらいたいことを委託すること

放任:成り行きに任せ、放っておくこと

というような違いがありますので、要注意です。よく「うちの上司は仕事を丸投げしてくる」と愚痴っている人が多くいますが、マネジャーとしてそう言われないように、仕事を任せた後はしっかりとメンバーと共に考え、サポートしていく必要がありますね。

 

まとめ

以上、メンバーの発達度を決める2つの要因とそれぞれに対応する4つのマネジメントスタイルについて書きました。やはり業務の中で多くのメンバーと関わる機会が増えたことで、実際のメンバーへの接し方を参考にしていこうと思っています。

今はまだ指示型やコーチ型でのマネジメントしかできていませんが、チームの中心となるメンバーへは積極的に支援型や委任型のマネジメントを行い、意思決定に参画してもらいたいと思っています。

コーチングスキルは組織で働く上でとても重要なスキルだと思うので、今後もしっかりと学んでいきたいですね。

それでは、また。

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ABOUT US

海馬
「無知の知」を自覚し、学び続けています。 増やした知識が単なる記憶の蓄積とならないように、ブログ「知識の海から」を立ち上げました。 学んだことや考えたことをアウトプットしていきます。英語が好きで、独学でTOEIC955点。英国と米国に滞在経験あり。2020年秋に産能大学卒業予定。学べる環境に感謝。