傾聴のスキルとフィードバックでメンバーの気づきを深める|コーチングスキル

どうも、海馬(@Transtier)です。

コーチングで発問のスキルを使い、メンバーから回答を引き出したとしても、それをコーチがうまく受け止め、解釈できるかがコーチングの正念場となります。せっかくメンバーが考えたことを話しているのに、コーチがそれを上の空で聞いたり、自分の主張を話すことで頭がいっぱいであれば、ちゃんとメンバーの考えを受け止められているということにはならないからですね。

そこで、今回はメンバーから引き出した回答をしっかりと「きく」ためのスキルである傾聴のスキルについて書いていきますので、よろしくお願いします。

 

傾聴のスキルについて

傾聴とは

今回学んでいく傾聴とは、「相手の言葉をよく理解し、気持ちを汲み取り、共感する」ということになります。傾聴のスキルをマスターすると、相手の信頼を得ることができますし、良好な人間関係を築くことができます。

僕はもともと医療系の専門学校を卒業しているので、治療者として患者への問診を行う際、傾聴が重要だということを繰り返し聞かされました。今回はコーチングとして傾聴を学んでいますが、やはり自分のことを理解してもらいたいという欲求は誰にでもあるものですよね。

この傾聴のスキルは人生にとってかなり重要なスキルなので、ぜひ一緒に学んでいきましょう。

メッセージの2つの要素

人間が発するメッセージには、大きく分けて2つの要素があると考えられます。考え気持ちの2つです。

  • 言葉そのものから読み取れる考え(話の内容)
  • 言葉の裏側に潜んでいる気持ち(感情)

普段の会話の中で重要とされるのは、話の内容をしっかり理解し、受け止めることです。しかし、傾聴を行う際にはそれだけでは足りず、その言葉の裏側に潜んでいる気持ちも汲み取ることが求められます。

メンバーの気持ちを理解し、メンバーの気持ちに寄り添ったコーチングが出来るように、しっかりと傾聴のスキルについてさらに学んでいきましょう。

 

傾聴することのメリット

メンバーの真意をつかめるようになる

傾聴することのメリットとして、メンバーの真意をつかめるということが挙げられます。何度も”メンバーを理解する”と書いていますが、理解するとは実際どういうことなんでしょうか。

ここでメンバーを理解するというのは、すなわちメンバーの真意をつかむことだと言えます。ある程度の大人であれば、口先で何でも言うことができますよね。言葉では「頑張ります」と話していても、実際はやりたくないと考えているかもしれません。

メンバーの話を言葉通り受け取るだけでは本当の意味で理解したことにはならないわけです。メンバーの感情面にも意識を向けた傾聴を行うことで、メンバーの真意をつかむことができるんですね。

メンバーとの信頼関係の構築

僕も自覚がありますが、やはり感情がすぐ表情に出てしまうタイプっていますよね。話し合いの中でメンバーが発した言葉が自分の思惑と違った時、表情に出してしまってはメンバーは気を使って本音を話さなくなってしまいます。

傾聴のスキルを活用し、メンバーが自由に発言をしても大丈夫という雰囲気を作ることで、コーチとメンバーの間に信頼関係を築くことができますよね。信頼関係を築くということはコーチとメンバーだけに限らず、人間社会で生きていく基盤となることなので、身につけて損はないスキルでしょう。

 

傾聴する際のポイント4つ

1. 話を聞く姿勢を取る

コミュニケーションを取る際、相手に対してどのような姿勢で向き合うかを意識していますか?

ここで言う姿勢とは、態度はもちろんですが、体の姿勢がとても重要です。コーチがメンバーからの話を受ける際、パソコンのスクリーンや資料から目を離さずに聞いているというシーンがドラマや実際の現場で見たことがあるかもしれませんが、正直最悪ですよね。

傾聴を実践しようと思うのであれば、しっかり相手に向き合い、ちゃんと聞いているということを相手に示す必要があります。

2. 適切なうなずきや相槌を使う

過剰な相槌でも全く相槌がなくても話しにくくなってしまうのが、相槌の難しいところです。しかし、適切なうなずきや相槌をうまく使うことができれば、メンバーは心を開いてもっと話をしてくれるようになります。

医療現場で患者さんへ傾聴を行う際には「おうむ返し」の相槌がいいと言われていました。患者さんが「ズキズキする」と言えば、「ズキズキするんですね」と相手の言葉を使って理解、共感を示すことです。これを「疼痛があるんですね」とか「拍動性の痛み」というように専門用語で返すのはよくないようです。

少し話が逸れてしまいましたが、相手がどんどん話をしたくなるような相槌を意識して行いましょう。

3. 相手の話を最後まで聞く

相手の話を聞きながら、自分は何を言おうかと考えていませんか? これは僕がたまにやってしまうので、意識して直さなければと思っていますが、相手の話を聞いている最中に自分の考えをまとめてしまうことです。

傾聴では自分の考えは脇に置いておき、相手の話を最後まで聞くことが重要です。相手の話が間違っていると思ったり、すでに自分が知っている内容だったとしても、相手を遮らず、最後までじっくり聞きましょう。

話の内容と感情を確認する

最後に、メンバーから受けた言葉をコーチが確認し、お互いの認識が異なっていないかの擦り合わせを行うことが重要なポイントとなります。コーチからの確認をフィードバックと言います。

フィードバックとはビジネスの現場でも、何らかのアクションに対して戻ってきた情報をフィードバックと呼んだり、人事の面談でもフィードバック面接というように呼んだりしますよね。

傾聴においても、メンバーが発した内容を受け、コーチが理解しているかのフィードバックを行う必要があります。そのフィードバックについては、次に説明していきます。

 

3種類のフィードバック

(1)内容フィードバック

これは名前の通り、メンバーが発したメッセージのうち、話の内容にフォーカスして行われるフィードバックです。なので、メンバーが話した内容と相違がないかを確認することができます。

内容フィードバックを行うことで、メンバーに対してコーチがしっかりと聞いてくれているという安心感を与えられますが、あまりに何度も内容確認をすると、不自然な会話になってしまいますので要注意ですね。

(2)感情フィードバック

次は感情フィードバックです。メンバーが発したメッセージのうち、感情に対して行うフィードバックで、相手の表情やしぐさから読み取った感情をコーチが言葉に置き換え、メンバーに返す方法です。感情に共感することにより、メンバーの真意を引き出すことができる可能性が高まりますが、あまりに見当違いな感情フィードバックをするとコーチの人間性が疑われてしまいかねないので、こちらも要注意です。

(3)要約フィードバック

最後に、話の内容や感情をコーチが要約して行うのが要約フィードバックです。「要するに…」とか「つまり…」という形で始めます。うまく行えば、メンバー自身が気づいていない考えや感情を整理することができるかもしれません。

ただし、時間がないから早くまとめようとして行う要約フィードバックはメンバーを不快な気持ちにさせる可能性がありますので、最後まで傾聴をするという大前提はしっかり守りましょう。

 

積極的傾聴の実践

積極的傾聴とは

話の内容と気持ちを理解し、真意を汲み取ろうとする傾聴ですが、さらにその先のレベルがあるようです。これは医療従事者だった僕も知らなかったので、一緒に学ばせていただきます。

積極的傾聴とは、話の内容と感情を受け止めるだけではなく、メンバー自身が自らの抱えている本当の問題にきづいたり、その問題に対する解決策を考えられるように支援する行為を意味するんだそうです。これは臨床心理学者のカール・ロジャースが提唱したコミュニケーションにおける積極的な聞き方の態度、姿勢に関する考え方なんですね。

積極的傾聴でコーチが取るべき態度

積極的傾聴を行う際、コーチが取るべき態度は以下の3つに集約されます。

  1. 真心のこもった態度
  2. 非支配的な温かさ
  3. 正確な共感性

メンバーのことをすべて受容するという態度がまず重要であり、その次にはコーチがメンバーに考えや行動を押し付けず、メンバーの主体性を尊重する態度、そして最後にはメンバーに対する正確な共感を持つことです。

この中で一番難しいのが3.の正確な共感性かと思います。なぜなら、正確な共感性というのはコーチ自身の経験や価値観というフィルターを通してメンバーを見てしまっては、正確に共感することができないからです。

仮にメンバーの言葉が自分の経験や価値観と異なっていても、人それぞれ異なる立場があるんだということを理解し、メンバーの考えや気持ちをありのままに理解することが大切なんですね。

積極的傾聴が有効な場面

積極的傾聴が特に有効なのはどんな場合かと言うと、以前に当ブログでも紹介したSL IISituational Leadership Theory II)、いわゆる状況対応型リーダーシップ理論による発達度がD3やD4のように、発達度が高いメンバーに対して行うと効果的だそうです。

逆にD1やD2はまだ能力や意欲が低いので、傾聴をしても引き出す答えが少ないので、考えさせるよりは教えることの方が多くなります。

 

メンバーの発達度に関しての話は以下の記事に詳しく書いていますのであわせてどうぞ!

関連記事: メンバーの発達度を決める2つの要因と4つのマネジメントスタイル

 

まとめ

以上、傾聴について学んだことを書いてきました。

大事なことはメンバーの考えや感情をコーチがありのままに受け止める。このことに集約されそうです。

メンバーの話をしっかり聞いているという姿勢づくりや、うなずきや相槌のタイミング、フィードバックの伝え方などは、実践あるのみかもしれません。僕もこれから新規業務などで多くのメンバーと関わることになるので、コーチングスキルを身につけられるように日々努力していきます。

それでは、また。

 

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海馬
「無知の知」を自覚し、学び続けています。 増やした知識が単なる記憶の蓄積とならないように、ブログ「知識の海から」を立ち上げました。 学んだことや考えたことをアウトプットしていきます。英語が好きで、独学でTOEIC955点。英国と米国に滞在経験あり。2020年秋に産能大学卒業予定。学べる環境に感謝。